F.LL.Wright の住宅


第14回 Zimmerman邸 1950年  ~T字型の細長い家~

道路側のファサードは、閉鎖的な表情をしています。レンガの壁に埋め込まれた穴あきコンクリートブロックが特徴です。

庭側は大きな庇に覆われた大きな窓が連続し、広大な庭につながっています。寝室が庭につきだし食堂とつながったテラスを囲い込みます。越し屋根の部分はworkspace(キッチン)。天井が一段高くなり、採光と換気のためのハイサイドライトが設けられています。

母屋と一体となったカーポートの大きな屋根。


カーポートから軒下を通って玄関に入り、居間とキッチンに導線が分かれて南側に張り出した食堂で出会う、とても使い易くて見せ場のある平面計画です。
切り妻屋根がそのまま天井となりボリュームのある空間に包み込まれながら視線が外へ抜けてゆく、なんとも心地の良いスペース。私がこの家を訪ねた時、Zimmermanご夫妻はご高齢でご主人のベッドは居間に移されていました。それでも夫人は快く隅々まで見せてくれました。

居間の正面には金屏風、反対側の暖炉の前に寝たきりになられたご主人のベッド。
居間は窓の内側にも植え込みが設けられ、外とのつながり感を強めています。

Zimmermannご夫妻の死後、この家は美術館に寄贈され一般公開されています。
見学申し込みはZimmerman Houseで検索。

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 『住まいマガジン びお』にて連載中。