F.LL.Wright の住宅

第9回 Lloyd Lewis邸 1939年  ~2階リビングのユーソニアンハウス~


 Lewis邸は大きな森に囲まれた川岸に建っています。敷地は川の氾濫域にあり湿気から逃れるために主な居室が持ち上げられた二階リビングの住まいです。玄関脇には船着き場がありボートでもアプローチ出来るようになっています。今ならグーグルマップで調べればすぐに見つけられるのですが、私が訪ねた頃は、標識もなく住所はわかっていてもなかなかたどり着けませんでした。たまたま通りかかった人に訪ねたところその人がこの家の鍵を持っていて中を見せていただくことができました。

 二階のリビングルームに面したバルコニーは、虫除けの網で覆われています。更にその網をツタが覆って日よけになっていました。ピロティの下は玄関までのアプローチでもあり半戸外の居間のようなスペースです。


左写真/ボート乗り場からのアプローチ立面。
右写真/玄関の踊り場から居間を見上げる。


大きく跳ね出したカーポートの屋根と二階書斎の庇、レンガ積の垂直線と横張りの板壁。
メチャかっこいいプロポーションです。植え込みが繁茂していてこれ以上後ろに下がれず35mmのレンズでは全景を納めることが出来ませんでした。残念!
 
玄関はかなり暗いのですがハイサイドライトから光が落ちてきて、気持ちをわくわくさせます。踊り場まで半階上がるとリビングの天井が見え、明るさのコントラストと空間の広がりに心が踊ります。これほど人をうならせる玄関は滅多にないでしょう。


 照明器具や家具もライトの設計。素晴らしい出来映えです。落水荘を担当したE.ターフェルが現場監理をしました。低予算に納めるため全ての工事を分離発注したそうです。

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  『住まいマガジン びお』にて連載中。