■北九州の家

この家は「木骨軸組構法」と名付けられたスケルトン&インフィル方式のシステム住宅である。
住宅性能表示:構造の安定等級3(最高級)、温熱環境は1ランク寒い地域の等級4(最高級の1ランク上)を確保している。
外周壁・床・屋根の構面からなるモノコック構造で、室内には耐力壁を設けない。内部柱は、1本の大黒柱のみである。軸組(構造)は、間仕切りと無関係にパターン化されている。建物の大きさが同じであれば、平面計画が異なっても構造は同一なので、繰り返し利用ができる。
大幅な大工手間の削減と工期短縮が図れ、高性能低価格を実現できる構法である。

基礎立上は外周のみ、玄関等の切り下げはしない。プラットフォーム構法で通し柱は無い。屋根は通気垂木で軒を出す、十分な屋根通気を確保して夏の日射負荷を軽減する。
インフィルは自由、設備や間取りの更新にも容易に対応できる。
外構計画は周辺環境を読み込んで個別対応をする。設計者の腕の見せ所である。
プロダクト住宅でありながら町並み改善に寄与することを目指している。

敷地は、3角形、交通量の多い道路に面している。
周囲に植樹をして、室内の延長として使える奥行きのある大きなテラスを設けた。
周辺環境の改善とプライバシーの確保を意図している。
片流れ屋根には太陽光発電パネルが乗っている。

南面は、2層の大きな開口部で2階の居室も吹き抜けに面している。
北側にも植樹し、南北の採光と通風を確保した。床面積は狭いが、広がりが感じられる。
空調は、床下に組み込んだヒートポンプによる輻射冷暖房をである。
床だけではなく、大きな壁面も冷暖房輻射面となっている。経済的で快適な空調方式である。

不整型な土地を利用して浴室の前に坪庭を設けた。
市街地でありながら外を眺めながら入浴できる。
浴室もメインのヒートポンプによる冷暖房範囲になっている。

■図面(クリックで拡大表示)